~はるかとは~
東日本大震災で被災した福島の復興を応援するために2013年にスタートしたプロジェクションマッピング「はるか」。最初の3年は会津若松市のシンボルともいえる鶴ヶ城を舞台に行われ、次の2年は白河市で開催。2016年は工事中だった文化交流館「コミネス」、2017年は南湖公園で行われました。私たちNHKエンタープライズは福島の復興を少しでも応援したいと、このイベントの開始当初から企画制作を担当してきました。
6年目を迎える2018年は戊辰150周年にちなんで、その舞台であった会津若松市の鶴ヶ城と白河市の白河小峰城の2箇所で行うことになりました。会津若松編の開催は3月23日(金)と24日(土)、白河編は4月7日(土)に開催されます。
はるか2018公式ホームページ http://www.fukushimasakura.jp/2018/index.html
今年の「はるか」では、さらに新しい試みに挑戦しました。1月30日から2月2日まで、4日にわたり福島県内の小学校や中学校を巡回する出前授業「学校でプロジェクションマッピング!」を実施したのです。これは復興のシンボルである新種の八重桜「はるか」にこめられた“はるかかなたの未来にまで広がってほしい”という想いを県内各地の子どもたちに届けるために、NHKエンタープライズが企画し、学校やPTA、教育委員会が主催となって開催されたものです。
建物に映像を投影するプロジェクションマッピングは、プロジェクターをたくさん使用して準備にも時間を必要とするなど、どうしても大掛かりになりがちです。それを、できるだけコンパクトな形にして、子どもたちの学び舎に出前に行けるようにしました。具体的に2月2日(金)に白河市の市立表郷中学校で開催されたイベントの様子をもとにご紹介したいと思います。
~学校でプロジェクションマッピング!~
上の写真が今回当社が新規開発した移動式プロジェクションマッピングシステムです(機材やトラックはレンタルですが・・・)。4tトラックの荷台に30000ルーメンのプロジェクター2台など必要な機材一式を積み込んで、オペレーションを行うためのバン、小型電源車の計3台という小規模体制でどこにでもおじゃまできます。
午後1時、学校に到着し、雪の積もったまっさらな校庭でセッティング開始です。プロジェクターを搭載した4tトラックをグランドに停め、PAなど音響機材を校庭に設置していきます。
日が暮れた午後5時頃からは、映像の調整作業です。校舎の形は学校ごとにベランダがあったり、ガラス窓の大きさが違ったりしているので、それぞれの形にあわせてマッピングの調整をしていきます。細かく調整して初めて校舎の凸凹に合わせたきれいな映像を写すことができるからです。その作業を40分ほどで行います。
技術チームがこうしたセッティングをしている裏で、演出チームは別の作業をします。今回の「学校でプロジェクションマッピング!」では、各学校の児童・生徒さん全員の写真を撮影して、その写真を取り込んだコンテンツをその場で制作して上映するのです。表郷中学校では160人の生徒全員と先生たちの“素敵な笑顔”を撮影させていただきました。
撮影するのはプロのカメラマン。カメラを構えるとみなさんすぐに最高の笑顔で応えていただいて、撮影もとてもスムーズに進みました。皆さんありがとうございました!
そして午後6時。いよいよプロジェクションマッピングの上映です。日が暮れるとさすがにしんしんと寒さが厳しくなってきましたが、生徒の皆さんと先生方を中心に、ご家族の皆さん、地元の方々など多くの人が校庭に集まってくれました。
今回用意したコンテンツは2つ。1つは福島を代表する民芸品「赤べこ」が主人公の「転校生X、大はしゃぎ!」というタイトルの作品です。子どもたちにも馴染みのあるクラッシック音楽「ラデツキー行進曲」や「ウィリアムテル序曲」の音楽にあわせて、赤べこが校舎を縦横無尽に動き回るこの作品は、プロジェクションマッピングらしい映像表現をふんだんに盛り込んだ楽しい内容になっています。
みんなでカウントダウンをして、いざ上映スタート!毎日見ている校舎で繰り広げられるいつもと違う景色に、「わぁー!」という歓声が上がります。上映時間は4分ですが、皆さんに楽しんでいただけました。
そして、もう1つのコンテンツは「表郷中学校に花が咲く」。復興支援ソング「花は咲く」の音楽に合わせて、桜の花が舞う中に昼間撮影させていただいた生徒たちの写真が次々に映し出されるというものです。
生徒たちは自分の写真が映し出されると寒さも忘れて友達と大盛り上がりです。ご家族の方々も校舎に映し出されたわが子の笑顔の写真をカメラで撮影していらっしゃいました。ある生徒さんが「めっちゃ綺麗だったし、楽しかった~。もう一生自分の顔が校舎にでっかく映ることなんてないよね。すごくいい体験でした!」とその日の夜にSNSに投稿をしてくれていました。みんなに喜んでもらうことができて、我々スタッフもとてもうれしかったです。
今回4日間にわたって実施した「学校でプロジェクションマッピング!」は、各校とも先生を始め、子どもたちやご家族の方々にとても暖かく迎えていただき、笑顔と歓声の中でイベントを行うことができました。皆さん、本当にご協力ありがとうございました。
~はるか2018~
さて、最後に3月と4月に行われる「はるか2018」について紹介させてください。今年の「はるか」のテーマは、「戊辰の風 花の雲」。福島に息づく“試練に立ち向かう勇気”と“不屈の魂”をプロジェクションマッピングで描きます。今から150年前、福島の人々は戊辰戦争を戦い、多くの命が失われ、その後も苦難の道を歩むことになりました。しかし、福島の人々はへこたれませんでした。未来に向かって歩み続け、ふるさとの再建と新しい日本の創出に力を尽くし、いくつもの花を咲かせました。
プロジェクションマッピングを通じて、震災からの復興に向かって歩み続ける人々にエールをお送りできたらと思っています。
そして今年の「はるか」には、福島出身の引地洋輔さんがリーダーを務めるアカペラボーカルバンド「RAG FAIR」が出演します。「RAG FAIR」の皆さんには、プロジェクションマッピングのクライマックスで「花は咲く」を歌っていただきます。ここだけの話、先日デモ音源を聴かせていただきましたが、とっても素敵な「花は咲く」ですよ!
プロジェクションマッピングは開催する場所それぞれの特徴に合わせて映像をマッピングするため、その場所の景色、音、空気、気温、匂いなどが一体となって唯一無二の体験をしていただけます。また、その感動を一緒にいるみんなで共有していただける特別なイベントです。ぜひご家族やご友人など、大切な人と体験を共有していただければと思います。
会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしております。
(グローバル事業本部 展開・戦略 EP 石川昌孝)
■開催概要
<会津若松編>
開催地:福島県会津若松市・鶴ヶ城
開催時期:2018年3月23日(金)、24日(土)の2日間
18:30~ / 19:15~ / 20:00~ / 20:45~
観覧募集:https://reservation-fukushimasakura.net/form/open/
<白河編>
開催地:福島県白河市・白河小峰城
開催時期:2018年4月7日(土)
19:00~ / 20:00~
観覧募集:2018年3月上旬開始(予定)
■主催:fukushima さくらプロジェクト
■共催:会津若松市/白河市
■後援:福島県
■企画制作:NHKエンタープライズ
問合せ先
会津若松市 観光課 電話:0242-39-1251
白河市 観光課 電話:0248-22-1111