N響スペクタクル・コンサート

NHKエンタープライズ創立30周年を記念して「N響スペクタクル・コンサート」が、3月19日NHKホールで開催されました。華麗なファンファーレの響きとともに開場、2,000人を越えるお客様が来場されました。

ロビーではハープの演奏で来場者を迎えた

 

今回、NHK交響楽団の奏でる極上の音楽と現代アート、そしてNHKエンタープライズがこれまで手がけてきた最新の映像表現技術とのコラボレーションが実現。世界的現代アートの作家・名和晃平さんに制作していただいた巨大なオブジェをバックに、いつもとはひと味違う空間の中、コンサートは始まりました。

第1部では自然の映像を用いたCGなどを反響板に投影。オーケストラを囲む大空間を映像が包みこみ、指揮者の尾高忠明さんは「映像を見て、大きな船に乗っているようで船酔いしました(笑)。別世界へ連れて行ってもらった感じ」とインタビューに答えていらっしゃいました。

前半の締めくくりは名作オペラ「トスカ」第1幕の幕切れ。世界的バス歌手の妻屋秀和さん、新国立劇場合唱団80名をお迎えし、さらに世界最大級のパイプオルガンや客席に配置された金管楽器群も加わって、荘厳な音絵巻を繰り広げました。

大合唱団とともに第1部は圧巻のフィナーレを迎える

 

第2部はいよいよストラヴィンスキーの「火の鳥」。今回のテーマは「宇宙の誕生から、この地球の未来まで」永遠と再生の物語です。

映像制作チームはこれまでにない映像を目指して、連日夜を徹しての作業となりました。そして本番を2日後に控え、N響のリハーサルにおじゃまして音楽に映像を合わせるシミュレーションを行いました。想定はしていたのですが、これがなかなか上手くいきません。今回はいわゆる打ち込みの音楽ではなく、微妙な息づかいでテンポが変化するクラシックの生演奏です。「音楽と映像をどうやってシンクロさせるか」あらためて検証し直しました。

行き着いたのは意外にもシンプルな方法です。まず映像のタイムコードを楽譜上に書き写します。演奏が進むのに合わせて、音楽スタッフが楽譜に記したタイムコードを読み上げていきます。映像スタッフはそのタイムコードに、再生中の映像タイムコードを合わせていきます。およそ20分の演奏中、映像のスピードを微妙に速めたり、遅めたり、調整を続けました。最新の映像技術とスタッフの手作業が絶妙に融合し、「火の鳥」を生演奏に合わせて羽ばたかせることが出来たのでした。





太古の生命の誕生から未来への希望を背負って火の鳥が羽ばたくまでをプロジェクションマッピングで描き出した

 

コンサートの模様は、放送でもご覧いただけます。ぜひ、ご覧ください。

放送予定

「N響スペクタクル・コンサート」
4月26日(日) 午後3:00~4:28 NHK Eテレ